「ハマー H2」は、2003年から2010年にかけて発売されていたアメリカGM(ゼネラル・モータース)製の大型SUVです。ハマーはもともと、軍用として開発された4WD車のハンヴィーの民間仕様として開発された経緯をもち、1999年から「ハマー H1」という名称になりました。「ハマー H2」はその流れをくむモデルですが、H2自体に軍用車との関連はありません。それでも軍用派生車であるH1の雰囲気を色濃く残し、極めて優れた悪路走破性と乗用車としての快適性を兼ね備えています。本格派のクロスカントリーSUVというイメージにあったスタイルは、2000mmを超える全幅やほぼ直立したフロントガラス、切り立ったボディサイドパネルなどがワイルドかつ力強い印象を与えました。一方、4800mm超という全長や2000mm近くに及ぶ全高などもあわせて考えると日常的に使うことは難しく、車両感覚も一般的な市販車にはほど遠いため、運転する場所も人も選ぶモデルといえます。インテリアには、H1譲りのプラスチックを多用した質実剛健なパーツを採用。車内の開放感は高く、オートエアコンやBOSEのオーディオシステムなどの装備も改良を重ねるごとに充実しています。また、乗員の快適性に直結するシート素材には発売当初はクロス張りが採用されていました。2005年モデルからタイプSではレザーシートに、タイプGではより上質なラグジュアリーレザーシートに変更され、高級感が加わっています。搭載されたエンジンは、最高出力236kW(320ps)を発生させる5,967ccのV型OHV8気筒エンジンで、2019年には排気量6,162cc、最大出力293kW(398ps)にパワーアップされました。これに組み合わされるトランスミッションは4速ATですが、エンジンと同様2007年に改良が加えられて6速化しています。悪路走破性をさらに強化するため、4WDには2スピード式電子制御の4WDシステムを採用しました。ボディの底が引っかからないように最低地上高は257mmまで高められ、フロント独立サスペンションやリヤの5リンクサスペンションなどがそれを可能にしています。「ハマー H2」が日本で発売されていた当時、現在ほどの安全装備は市販車に搭載されていませんでしたが、ABSやエアバッグといったものは標準装備されています。2007年に一部改良された際は、さらなる安全装備もプラスされました。3列シートの全てにルーフレール、ヘッドカーテン、サイドエアバッグなどが追加で装備され、ドライバーの被害を最小限に食い止めます。輸入開始当初は6人乗りのみというモノグレードの展開でしたが、翌年2列シート5名定員の「タイプS」と3列シート6人乗りの「タイプG」に分かれるようになりました。※記載の文章は、2021年8月時点の情報です。