トヨタ ライズ▲ホームページを確認するとトヨタ ライズの「工場出荷時期めど」は約3ヵ月。けれど登録済未使用車ならあっという間に愛車にできる

新車と違い、すぐ乗れる! 新車の香りもする「登録済未使用車」

新型コロナの影響で長い納車待ちとなり、新車を諦めかけている人に検討してほしいのが、新車とほぼ同じ「登録済未使用車」だ。

実は、展示車両にするためなどの理由から、新車状態の車を販売店の名義で陸運局に登録のみをすることがある。しかし車は一度でも登録してしまうと、たとえ未使用であっても法律上は中古車という扱いになるのだ。

こうした走行距離100km以下の中古車を「登録済未使用車」という。(軽自動車の場合は「届出済未使用車」となるが、「新古車」や「未使用車」という俗称でまとめて表記されることもある)

中古車といっても走行距離がわずか100km以下、というか1ケタkm以下なんていうのもザラだ。シートに新車時のビニールが被っている車も多い。乗り込むと、いわゆる「新車の香り」もする

しかも店頭などに「現車」としてあるので、あとは登録作業(購入者への名義変更等)をすれば、すぐに愛車にできる、中身は新車とほとんど変わらない中古車なのだ。

それでいて中古車という立場上、新車時よりも価格は抑えられるケースがほとんど。

ちなみに、「登録済未使用車」はすでに工場から“出荷済み”のため、新車と違って購入する際にボディカラーの指定やサンルーフなどのオプション設定はできない。

だからこそ掲載台数が大事。これから紹介するSUVは、カーセンサーに掲載されている「登録済未使用車」の台数、上位5車種をピックアップしたので、そうした選択の幅も広がりやすいはずだ。(台数は原稿執筆の2020年6月8日時点)

それでは台数の多い「登録済未使用車」のSUV5車種を、今回はランキング形式で紹介していこう。

街乗りにピッタリなサイズ、ハイブリッドモデルも選べる
第5位 ホンダ ヴェゼル(現行型)100台

ホンダ ヴェゼル▲小さな振動を吸収し、コーナリング時などには車の姿勢を安定させる足回り(振幅感応型ダンパーという)は「モデューロX」以外に標準装備。4WD車では2018年のマイナーチェンジでさらに精緻に制御されるよう改良された
ホンダ ヴェゼル▲パーキングブレーキは電子制御式。ハイブリッド車は、燃費を損なうほどアクセルを踏もうとすると、ペダルが反発感を足に与えてくれる。なお、ラゲージ容量は通常で393L。後席を倒すとフラットな広いラゲージを作れる

街乗りにピッタリなサイズのSUVとして、2013年12月にデビューしたヴェゼル。翌2014年度から2016年度の3年間の新車販売台数でSUVトップとなった。2019年(1月~12月)の集計でもSUVトップに返り咲いている。

低燃費でライバルたちより手頃な価格、サイズのわりに室内は広くて、見た目もよいと、発売から7年目に突入した今も人気を得ている。

現時点のラインナップは1.5L×モーター×7速ATのハイブリッドモデルと、1.5L×CVT、さらに1.5Lターボを搭載するツーリングや、専用のエアロデザインやサスペンションを備えた「モデューロX」というコンプリートカーも用意されている。1.5Lターボを搭載するモデル以外は4WDも選べる。

衝突被害軽減ブレーキや、車線中央をキープするようにステアリングを自動制御する機能、全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)を含む「ホンダセンシング」は全車標準装備。

新車の車両本体価格は211万3426~361万7900円。カーセンサーに掲載されている「登録済未使用車」なら、原稿執筆時点で支払総額200万円以下からとお手頃価格で探すことができる。約半数はハイブリッドモデルだ。残念ながら1.5Lターボや「モデューロX」は見つからなかった。

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ホンダ ヴェゼル(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国

支払総額で250万円以下でプロパイロット搭載車も狙える
第4位 日産 エクストレイル(現行型)104台

日産エクストレイル▲木の枝などによる引っかきキズ程度なら時間とともに修復する「スクラッチシールド」や、ハイ/ロービーム自動切替機能(2019年1月から)が全車標準装備。なお、ラゲージ容量は通常で565L(2列シート車)/445L(3列シート車で3列目を折り畳んだ状態)
日産エクストレイル▲ナビの種類によって、自車を俯瞰で見られる「アラウンドビューモニター」が備わる。問合せ時に確認を。本革シート以外では、シート・フロア・ラゲージフロアが防水加工されているので、アウトドアに使いやすい車だ

2013年12月に登場したエクストレイル。デビュー時から悪路走破性とスポーティな走り、さらに快適な乗り心地をかなえるための最新デバイスを搭載。衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能など先進安全機能も用意される(2015年12月には全車標準装備に)。まさに「技術の日産」の粋を集めたSUVだ。

そのため、たびたび最新技術が投入され、2020年1月には「プロパイロット」(先行車と一定距離を保ちながら自動追従し、車線中央を走るようステアリング操作をアシスト)の精度向上や、衝突被害軽減ブレーキの夜間時での性能向上などが図られた。

現在のラインナップは2Lガソリンモデルと、2L+モーターのハイブリッドモデル。どちらもCVTが組み合わされ、2WD/4WDが用意されている。4WD車は、雪道など滑りやすいカーブでもキレイに曲がれるよう四輪の駆動をコントロールしてくれる他、2WD/4WDとも車体の上下の揺れやコーナリング時のスピード調整を行ってくれる。2列シート5人乗りと、3列シート・7人乗りがある。

新車の車両本体価格は304万5900~375万6500円。原稿執筆時点で支払総額210万円台の登録済未使用車も見つかる。ほとんどがプロパイロットやLEDライトを標準装備したガソリン車の「Xi」で、そのうちの約8割が4WD車だ。3列シート車も数は少ないが見つけられる。

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日産 エクストレイル(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国

このモデルを新車同様で狙うならラストチャンス!?
第3位 トヨタ ハリアー(現行型)124台

トヨタ ハリアー▲プレミアムは18インチ、エレガンスは17インチのアルミホイルが標準。プレミアムはLEDヘッドライトで、どちらも(方法は異なるが)ハイビーム走行時に対向車がまぶしく感じるのを防ぐ機能が備わる。なお、ラゲージはゴルフバッグ4つが積める余裕がある
トヨタ ハリアー▲プレミアム、エレガンスとも本革巻きステアリングだが、プレミアムは黒の木目と幾何学柄で飾られている。プレミアムはオートワイパー機能が備わる。USB/外部入力端子はプログレス系に標準、他はメーカーオプションなので購入時に要確認

以前は北米ではレクサスRXとして販売されていたが、RXと離れて、国内専売車種として再スタートを切ったのが、2013年に登場した現行型ハリアーだ。

間もなく次期型に切り替わるため(2020年6月17日に発売)、ホームページでの工場出荷見込みの目安は「販売店に問い合わせを」状態。このモデルを新車で購入するには新車ディーラーの在庫か、新車のような「登録済未使用車」を狙うほかないようだ。

もともと「高級クロスオーバーSUV」という新ジャンルを切り開いたのが初代ハリアー。国内専売車種となったこの3代目では、レクサス RXとは違う、若々しい「高級感」を備えている。

現在のラインナップは2Lガソリン×CVTモデルと2Lターボ×6ATモデル、2.5L+モーターのハイブリッドモデル(CVT)の3種類だ。ガソリン車の2モデルは2WDもあるが、ハイブリッドモデルは4WDのみとなる。

2017年のマイナーチェンジで、衝突被害軽減ブレーキを含む先進安全機能の「トヨタ・セーフティ・センスP」が全車に標準装備された。4WD車はコーナリング時に雨や雪に左右されず安定して走行できるよう、前後輪の駆動力やブレーキを細かく制御してくれる。

新車の車両本体価格は300万4100~468万9300円。原稿執筆時点では支払総額300万円以下が30台以上見つかった。それらは2Lガソリン×CVTモデルのみで、グレードはプレミアムかエレガンスとなる。4WDも選べる。

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悪路走破性の高い4WDモデルが狙いやすい
第2位 トヨタ RAV4(現行型)129台

トヨタ RAV4▲全長4610mm×全幅1855mm×全高1685mm(Xの場合)と、3ドアのコンパクトSUVだった初代とは隔世の感があるサイズ。なお、G Zパッケージには、リアバンパー下で足を振るとバックドアが自動で開閉する機能が標準で備わる
トヨタ RAV4▲ガソリン4WD車には路面状況に応じて「マッド&スノー/ノーマル/ロック&ダート」から走行モードを選べる

一時は海外専売モデルとなったRAV4だが、2019年4月に日本で再デビュー。かつてのタウンユース志向と違い、よりオフロードでの走行性能を重視したキャラクターとなった。もちろん、街中や高速道路での乗り心地のよさも魅力を増している。

現在のラインナップは、2L×CVTモデルと、2.5L+モーターのハイブリッドモデル(CVT)の2タイプ。いずれも2WD/4WDがあるが、メインは4WDモデルだ。なんとグレードによって3種類の4WDが用意されている。

2LモデルのXとGは路面状況に応じて、前後の駆動力を前100:後0~前50:後50の間で瞬時に切り替える「ダイナミックトルクコントロール4WD」。2LモデルのアドベンチャーとG Zパッケージは、ダイナミックトルクコントロール4WDの機能に加え、後輪の左右の駆動力も自動制御してより悪路走破性を高めた「ダイナミックトルクベクタリング4WD」が備わる。そしてハイブリッドモデルはモーターを使って後輪の駆動力を自動制御する「E-Four」を備える。

衝突被害軽減ブレーキや全車速追従機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC。トヨタではレーダークルーズコントロールと呼ぶ)などを含む、「トヨタ・セーフティ・センス」は全車標準装備。

新車時の車両本体価格は265万6500~388万8500円。原稿執筆時点で支払総額約260万円から狙える。最も多いのはG Zパッケージだが、アドべンチャーなど他グレードも選べる。ハイブリッドモデルは台数が少ないようだ。

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衝突被害軽減ブレーキを搭載するアウトドアギア
第1位 スズキ クロスビー(現行)175台

スズキ クロスビー▲最低地上高は180mmと、ラフロードでもボディの腹を打ちにくい。ハイ/ロービーム自動切替機能はハイブリッドMZに標準で、ハイブリッドMXにはオプションで用意されている
スズキ クロスビー▲自車を俯瞰で見られるため駐車時に便利な「全方位モニター」はオプションで用意されている。リアシートは左右別々にスライドが可能で、ラゲージ側からもスライドさせてラゲージを広げることができる

全長4mを切るコンパクトなボディのクロスビー。ウエットスーツなど濡れた物を投げ込んでも平気な素材を使ったラゲージ(全車標準装備)や、はっ水加工されたシート生地(ハイブリッドMZ)などアウトドアライフを楽しむための装備が備わる。

1L+モーターのマイルドハイブリッドモデルのみで、これに6速ATが組み合わされる。22.0km/L(2WDのJC08モード)と燃費がいいのも魅力のひとつ。

4WD車もあり、通常は前輪のみで走り、雪道などでスリップを検知すると瞬時に後輪も駆動するという、いわゆる生活四駆機能が備わる。4WD車ではさらに、ぬかるみや滑りやすい路面で発進しやすくなるグリップコントロール機能や、急な下り坂を一定速度で下りていけるヒルディセントコントロールも備わる。

衝突被害軽減ブレーキを含む同社の先進安全機能はハイブリッドMZには標準装備されるが、ハイブリッドMXにはメーカーオプション(スズキセーフティパッケージ)として用意されているので、購入時に確認を。

新車の車両本体価格は179万8500~222万9700円。原稿執筆時点で支払総額約170万円から狙える。ほとんどが衝突被害軽減ブレーキ装着車となっている。

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全長4m以下の人気コンパクトSUVも「登録済未使用車」で狙える
隠れ1位 トヨタ ライズ(現行型)/ダイハツ ロッキー(現行型)

トヨタ ライズ▲LEDヘッドライトを上級グレードに標準装備。ハイ/ロービーム自動切替機能によって、対向車や先方車両へのまぶしさを防ぐ機能は全車に備わる。ラゲージ容量は通常で369L。写真はトヨタ ライズ
トヨタ ライズ▲上級グレードには4パターンの表示方法から選べるLEDデジタルスピードメーター+液晶ディスプレイが備わる。USB端子は前席に1個と後席に2個用意されている。写真はトヨタ ライズ
ダイハツロッキー▲写真はダイハツ ロッキー。ライズとの違いはグリルなどデザインが多少異なる他、グレードによる装備が異なるので、購入前にどのグレードに何が備わるのか確認しておこう

ベスト5には漏れたが、実は原稿執筆時点でのトヨタ ライズの登録済未使用車は99台、そのエンブレム違いのダイハツ ロッキーは97台。合わせると196台でトップになる。つまり隠れた1位はライズ/ロッキーというわけだ。

全長4mを切る使い勝手のいいサイズで2019年11月に登場した両車は、あっという間に人気車となり、特にライズは2020年1月と2月の販売台数でトップ、その他の月でもベスト10に入るほど注文が殺到。

そこに新型コロナの影響も加わり、原稿執筆時点では「工場出荷めど」が注文から約3ヵ月後という状況に。実際に納車されるまでにはさらに時間がかかるだろう。それゆえ、すぐに手に入る「登録済未使用車」はかなり美味しく見えてくるはずだ。

搭載されるエンジンは1Lターボのみ。これにCVTが組み合わされる。4WDもあるが通常は前輪で走り、スリップを検知したら瞬時に後輪も駆動させるという、いわゆる生活四駆なので、積極的にオフロードを走り回るというキャラクターではない。

先進安全機能はダイハツ製の「スマアシ」で、衝突被害軽減ブレーキの他に車線を越えようとすると自動で車線内に戻す機能や、前後誤発進抑制機能などが、ライズはXを除く全車、ロッキーは全車に標準装備される。また全車速追従機能付きACCはライズがZに、ロッキーはGとプレミアムに装備されている。

新車の車両本体価格はライズで167万9000~228万2200円、ロッキーが170万5000~236万7200円。原稿執筆時点でライズが支払総額約170万円から、ロッキーは約180万円から狙える。グレードや2WD/4WDも豊富に選ぶことができる。

▼検索条件

トヨタ ライズ(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国

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ダイハツ ロッキー(現行型)×登録(届出)済未使用車×全国
文/ぴえいる、写真/尾形和美、トヨタ、ホンダ、日産、スズキ

ぴえいる

ライター

ぴえいる

『カーセンサー』編集部を経てフリーに。車関連の他、住宅系や人物・企業紹介など何でも書く雑食系ライター。現在の愛車はアウディA4オールロードクワトロと、フィアット パンダを電気自動車化した『でんきパンダ』。大学の5年生の時に「先輩ってなんとなくピエールって感じがする」と新入生に言われ、いつの間にかひらがなの『ぴえいる』に経年劣化した。