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電気自動車(BEV)ならではの“駆けぬける歓び”に満ちたグランクーペ「BMW i4」 余裕の航続可能距離で約600kmのロングドライブを堪能
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:小林 岳夫
BMWのBEV(バッテリー駆動の電気自動車)をラインアップする「iシリーズ」は、BEVの盛り上がりにあわせて車種を増やし続けています。当記事ではそんな「iシリーズ」の中でも、日本に上陸して間もない「BMW i4」の魅力をご紹介。
BEVにおいて気になるのは、1充電での航続可能距離やエンジン車との走りの違い、快適性などでしょう。くわえて、BMWならではの「駆けぬける歓び」をどのように体験できるのか、ここも興味をそそられるポイントのはず。
今回はモータージャーナリストの岡本 幸一郎さんと「BMW i4 M50」で約600kmのロングドライブに出かけ、そこでのインプレッションをレポートしてもらいました。
スタイルよし、使い勝手よしの「i4」でロングドライブへ
BMWの「iシリーズ」といえば、かつて「i3」と「i8」という斬新な2台の登場に衝撃を受けたことを思い出します。2台の登場以降はしばらく音沙汰がありませんでしたが、2022年となり矢継ぎ早に3台のニューモデルが送り出されました。そのうちの1台が今回紹介する「i4」です。
各社が送り出すBEVはSUVタイプが多い中で、人目をひく、美しいスタイルの5ドアクーペのBMW「i4」。そのビジュアルからも気になっている人は多いはず。筆者もそのうちの1人だったので、今回の試乗をとても楽しみにしていました。
乗り始める前に、まずはビジュアルの魅力や使い勝手、パワートレインをチェックしていきましょう。
「i4」のベースは「4シリーズ グランクーペ」
「i4」は4シリーズ グランクーペがベースとなっているBEVです。
4シリーズ グランクーペが出たときから、注目を集めていた縦型の巨大キドニーグリル。従来モデルよりも縦方向に広がったグリルデザインは、新しい時代のBMWを象徴するもので、車高の低いスポーティなクーペスタイルともマッチングしています。
5ドアであることやハッチバックによって日常シーンでも使いやすく、充実したBMW最新の予防安全・運転支援システムによって、評価の高いモデルです。
そんな4シリーズ グランクーペがBEVとなったのだから、「i4」の注目度が高いのはいうまでありません。試乗への期待感が高まります。
試乗したのはMパフォーマンスモデルの「i4 M50」
今回試乗したグレードは「i4 M50」。BMWのBEVで初のMパフォーマンスのモデル。BMW M社によってパワートレインやシャーシにスポーティなチューニングが施されています。
パワートレインは、83.9kWhのリチウムイオン電池を搭載し、前軸に70kW、後軸に95kWのモーターを搭載した4WDとなっています。システム出力は前後あわせて400kW(544ps)、ローンチコントロールを用いればわずか3.9秒で100km/hまで加速するパワフルさ。くわえて、1455mmという低く抑えられた車高などにより、高い運動性能を誇ります。
そのパワートレインのパフォーマンスを発揮させられるように「i4 M50」には、Mパフォーマンスモデル専用の数々のチューニングが施されています。
たとえば、1/1000秒単位の速さで、路面状態や走行スタイルに合わせて自動調整をする電子制御式ダンパー「アダプティブ M サスペンション」、ハンドル操作による前輪の切れ角やアシスト量を変化させて走行安定性を高める「バリアブル・スポーツ・ステアリング」、高速域からも止まれるという安心感を与えてくれる「Mスポーツ・ブレーキ」など。これらの装備によって、安心してアクセルを踏み込め、スポーティな走りを楽しむことができます。
1充電走行距離の公表値は546km(WLTCモード)と、ロングドライブでも不安を感じさせません。
そんな「i4」で片道約600kmのロングドライブに出かけ、長い航続可能距離によるメリットや、高速道路・ワインディングでの走り、快適性などをチェックしてみました。
美しいプロポーションに、モーターならではの俊敏で力強い加速
早朝から「i4」に乗り込み、神宮外苑から出発。エンジン音がないことで、周囲を気にせずに深夜・早朝から出発ができるのものBEVの魅力。
さっそく首都高速道路に乗り、中央自動車道で山梨方面へ。まず向かったのは「塩川ダム」。インターを降りてからも距離がある場所ですが、航続可能距離に余裕のある「i4」ならば、市街地から離れた山の奥地でも不安なく行けますね。
高速道路で試したところ、走りのほうも期待どおり。応答遅れがなく、リニアなトルクを踏み始めから生み出すところはモーターならでは。俊敏で力強い加速で気持ちよく走れます。
さらに、ガソリン車のような走行サウンドで聴覚から走りを楽しませてくれる「BMWアイコニック・サウンド・エレクトリック」も、ドライブをワクワクさせてくれる要素。
ドライブモードは「スポーツ/コンフォート/ECO・PRO」の3つが用意されており、スポーツモードを選択すれば、エンジンには定評のあるBMWならではのサウンドが再現され、よりスポーティで刺激的な体験ができます。
一方で「ECO・PRO」モードを使用し、サウンドもオフにしてみました。振動も少なく高い静粛性が確保されるため、音楽を存分に楽しむことができます。これもBEVならではの特権ですね。
自動的に車線を維持して走ってくれるほか、周辺危険を予測する予防安全・運転支援システム「ドライビング・アシスト・プロフェッショナル」も備わっており、システムのフォローによって高速道路を走るときのドライバーの負担が小さくてすみます。
また、渋滞時にドライバーが前方を注意していればステアリングから手を離して走行ができる「高速道路渋滞時ハンズ・オフ・アシスト」も装備されているので、渋滞が発生しても疲労を抑えてくれます。渋滞の発生しやすい週末でもあまり躊躇することなく出かけられて、ストレスなくドライブができるでしょう。
「i4」でのドライブを愉しみながら、1つ目の目的地である塩川ダムに到着。あらめて、湖畔にたたずむ「i4」を眺めてみました。横から見ると、フロントからリアピラーにかけて描かれた流れるようなルーフラインの美しいプロポーションが際立って見えます。「i4」は間違いなく所有感を満たしてくれます。
車両重量を感じさせず、意のままに操れるハンドリング
高速道路だけでも十分に走りの気持ちよさを愉しめましたが、次の目的地に向かう富士スバルラインでも、さらにBMWらしいスポーティな走りを堪能することができました。
2.2トンを超える車両重量を感じさせない、意のままのハンドリングです。アクセルやステアリングを操作したとおりにタイムラグなく応答してくれる、このダイレクト感と一体感には、ワクワクさせられます。
この走りの楽しさは、加減速の程度によって曲がり具合を積極的にコントロールできるという、BMWのスポーティなモデルならではの特徴。BEVになったことで、よりリニアに曲がり具合をコントロールできるようになったと感じ、アクセル・ハンドル操作をする歓びが増しました。まさしく、BMWが提唱する“駆けぬける歓び”を感じられます。
走行モードを「スポーツ・ブースト・モード」に選択するとさらに力強さが増して、エキサイティングな走りを楽しませてくれます。内燃エンジンで同様の加速を実現するには、車体価格が何倍にも跳ね上がるはず。それが「i4」ならスイッチひとつで実現できるのですから、コストパフォーマンスも抜群といえるでしょう。
また、電気エネルギーを効率よく回収する回生協調ブレーキを使用していることで、エンジン車とはブレーキフィーリングが異なります。回生のレベルは任意に選ぶことができ、まったく回生せずに滑らかな減速感で走る「コースティング」ができたり、最も回生が強力な設定にすればアクセルオフだけでブレーキを踏んだような減速もでき、アクセルペダルだけ加減速をコントロールすることも可能。
回生協調ブレーキの効き具合は「iドライブ」のメニューにて、強・中・弱の3段階(Bレンジに入れると最大設定)から選ぶことができます。エンジン車とはまた違ったアクセルワークによる走りが楽しめます。
自然豊かな観光地へ向かうならばBEVならではのメリットも
今回走行した、富士スバルラインは7月中旬から~8月末までマイカー規制が実施されます。ここだけでなく同様の規制は、全国の観光地で今後増えていくことも予想されます。
排気ガスを出さず環境への影響が小さいBEVとFCV(燃料電池自動車)ならば、事前に申請すれば規制の対象になりませんし、期間を気にせずアクセスできることもメリットでしょう。
また一部の国立公園では、BEVやFCVであれば、駐車場が無料となるキャンペーンも実施されており、自然豊かな観光地へ向かうならばBEVであることのメリットも増えてきています。
富士スバルラインを後にし、富士山を下りて山麓にある道の駅「富士吉田」で昼食と充電タイム。
近年では施設に備わる充電スポットが大幅に増えており、ちょっとした休憩や食事の間に充電ができます。航続可能距離が長い「i4」であれば、気が付いたときに充電するだけで電欠の不安なく旅が続けられますね。
▼「充電施設の実情」や「電気代などのコスト」が気になる方は記事をチェック!
BMW製の直6エンジン「シルキーシックス」に通ずる伸びやかな加速フィール
続いて、新東名高速道路に乗って西を目指します。制限速度120km/hの区間でも、「i4」のハイパフォーマンスモデル「M50」は余裕を感じながら走れます。
アクセルを踏み込んだときの伸びやかな加速フィールには、BMWの誇りである直列6気筒「シルキーシックス」の吹けあがりにも通じる“駆けぬける歓び”が感じられます。
「i4」のロングドライブもいよいよ佳境。さらに西へ走らせ、風車が立ち並ぶ道路を抜けて、和味の宿へ
約600kmのロングドライブはいよいよ佳境を迎えます。
さらに西へ向かい、新東名高速道路から東名高速道路へ。愛知県に入ってほどなく一般道に下り、渥美半島の突端の伊良湖方面へ。ここも、航続可能距離の長い「i4」だからこそ、臆することなく訪れることができたのでしょう。
また、風車があることから分かるように風の強い道ではありましたが、クーペスタイルの低重心とBEVの大きなトルクによって颯爽と走り抜けられました。
そこからほど近い和味の宿「角上楼」へ。創業は1925年と、まもなく100年を迎える老舗宿は、当時の面影をそのまま今に伝える落ち着いた佇まい。こちらの建物は国の登録有形文化財指定にも指定されています。
BEVならではの静粛性の高さと、BMWならではの美しいプロポーションによって、伝統的で奥ゆかしい建築と、その場所がもつ静けさに溶け込むように「i4」は佇んでいました。
安心の航続可能距離と、BMWのBEVならではの“駆けぬける歓び”に満ちた「i4」
ここまでの走行距離はざっと581km。途中ちょっとした充電だけで、難なく走ってこられました。
今回ロングドライブを行った「i4」は、BMWのBEVならではの“駆けぬける歓び”に満ちた1台であり、「i4」の長い航続可能距離によって電欠の不安などは一切なく、エンジン車と同じように不安なく遠出ができると感じました。
いち早くBEVの波が起こった欧州では、すでにBEVの選択肢が豊富にあり、欧州市場で求められる走行性能や長い航続距離の確保にかなり力を入れているクルマが多いですが、「i4」もまぎれもなくその1台。
このBEVが選択肢として当たり前になった今、ぜひ1度体験してみてはいかがでしょうか。
>>BMWのBEVモデル一覧や見積りなど詳しい情報はこちら【公式】
[筆者:岡本 幸一郎/カメラマン:小林 岳夫/撮影協力:角上楼」
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