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マツダのスカイアクティブXって高いけれど一体何がスゴイの!? これから期待したいコトとは?
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:MOTA編集部
夢のエンジンとして注目を集めたマツダのスカイアクティブXエンジン。2019年12月の発売スタートから2年弱経過したが、現状成功しているとは言い難い状況だ。事実スカイアクティブXの販売比率はマツダ全体の6%弱で、最大のネガとなっているのは少し割高な価格と見られている。だが、そもそもスカイアクティブXとは一体何者なのか!? 他のエンジンとの違いとこれから期待したいこととは!?
ガソリンとディーゼルのイイとこ取り
スカイアクティブXは、マツダ3やCX-30に搭載される先進的なエンジンだ。ガソリンを燃焼させながら、少ない燃料消費量で最大の駆動力を得ることを目的に開発。それによって化石燃料の使用量と、二酸化炭素を含めた排出ガスの発生量を抑え、環境問題に対応するのだ。
スカイアクティブXの一番の特徴は、ガソリンとディーゼルエンジンのメリットを併せ持つことである。
素早く反応させるのが最大のキモ
細かい話をするとガソリンエンジンは、圧縮された混合気を点火プラグによる火花で着火させる。
一方のディーゼルは空気を圧縮して、高温になったところで燃料を直接噴射することにより、点火プラグを使わずに圧縮着火させる。そのために急速かつ同時多発的な燃焼が可能になるのだ。
デメリットを圧縮着火で解決
そして両方のメリットを併せ持つスカイアクティブXは、多量の空気と排出ガスの一部を燃焼室に取り込み、少ない燃料で燃焼させる希薄燃焼方式を採用する。
希薄燃焼は燃費効率が優れているが、火炎が広がりにくく、燃焼が不安定になる課題も抱えているのだ。
そこでスカイアクティブXでは、空気を圧縮して高圧になったところで、70メガパスカル(700気圧)の圧力によって燃料を噴射。続いてガソリンエンジンと同様、火花による着火を行い、点火プラグ周辺に火炎球を生み出すのだ。
火炎球が膨張すると燃焼室内で圧縮が行われ、薄い混合気をディーゼルエンジンと同じく急速燃焼させる。前述の通り、希薄燃焼には燃え広がりにくい性格があるが、これを急速かつ同時多発的に燃焼させる圧縮着火によって解決させたのだ。
最終的にガソリンとディーゼル技術をミックスして実現
以上のようにスカイアクティブXでは、ガソリンエンジンと同様に点火プラグを使って火炎球を作り、ディーゼルエンジンのように急速かつ同時多発的に燃焼させることで、安定して優れた燃焼効率を得ている。
つまり高度な希薄燃焼を実現させるため、ディーゼルに準じた圧縮着火方式を採用しているのである。常に点火プラグを使って着火を誘発させるから、着火タイミングを最適制御することも可能というワケ。
圧縮着火が難しい時は、通常の火花点火へスムーズに移行できる。点火プラグを使わない着火状態があると、切り替えが課題になるが、スカイアクティブXでは常に点火プラグが作動するから不都合は生じないのだ。
高い価格設定は環境技術フル装備の影響だった
スカイアクティブXは、そのほかにもさまざまな技術を採用している。動力性能を高めるために、エアーサプライシステムと呼ばれるスーパーチャージャーを装着。さらに環境/燃費性能を向上させるマイルドハイブリッドシステムも搭載しているのだ。
このほかディーゼルエンジンと同様、粒子状物質を除去するガソリンパティキュレートフィルターも備わる。
さらに先に述べた70メガパスカルの燃料噴射機能、気筒内の圧力センサー、排出ガスを燃焼室に還元させるクールドEGRシステムなどを備える。さまざまな環境技術をフルに採用しているのだ。
そのために価格は、同等の装備を採用した2リッターノーマルガソリンエンジン車に比べて、約68の上乗せになっている。マツダ3・Xプロアクティブツーリングセレクションは331万9148だ。
究極のダウンサイジング!? 大排気量並の運転感覚
スカイアクティブXの運転感覚は、実用回転域の駆動力が高く、動力性能をノーマルタイプのガソリンエンジンに当てはめると2.5リッターエンジンに相当する。
加速も滑らかで走りの満足度は高いが、約68の価格上昇が購入を困難にしている。開発者は「スカイアクティブXの初期モデルとあって、投資も多く、価格が高まるのは避けられない」という。
現状の燃費性能では期待値に届かず! 更なる向上と価格ダウンに期待!
その一方で2WDの6速ATのWLTCモード燃費は17.2km/Lだから、2リッターガソリンの15.6km/L、1.5リッターの16.6km/Lよりは優れているが、クリーンディーゼルターボモデルの19.8km/Lには達しない。
スカイアクティブXは優れた技術なので、今後も燃費のさらなる向上と価格の引き下げに力を入れて、主力のエンジンに育てて欲しい。
【筆者:渡辺 陽一郎】
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1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る
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