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大荒れ展開で異例のレース延長。運を味方にしたJOTAが優勝、トヨタは8号車6位|WECスパ6時間
世界耐久選手権(WEC)第3戦スパ6時間レースの決勝は、赤旗がレース展開を大きく左右し、ポルシェのカスタマーチームであるハーツ・チームJOTAの12号車(ウィル・スティーブンス/カラム・アイロット組)が優勝を果たした。
スパ・フランコルシャンのコースレイアウトや求められるダウンフォース量などの関係で、6月のル・マン24時間レースの前哨戦と目されるこのレース。天候に翻弄されることも多いが、今週末は好天に恵まれた。
■アルピーヌ、今季初のハイパーポール進出。ミレッシ「散々だった前戦イモラの”癒やし”になったよ」
予選はフェラーリ50号車が最速タイムをマークしたものの、最低重量違反により痛恨の失格。ポルシェ5号車が繰り上がりでポールポジションについた。トヨタ勢は8号車が6番手、7号車が14番手からのスタートとなった。
スタート直後は大きなトラブルなく、ポルシェ5号車がレースをリード。それをキャデラック2号車が追う展開となった。クラス最後尾スタートだった50号車を含めフェラーリ499Pの3台も良いペースでポジションを徐々に上げていった。
トヨタは序盤、8号車が8番手、7号車が11番手を走っていたが、レース開始から10分が過ぎ、フロントモーターの出力に違反があったとして8号車に5秒のストップアンドゴーペナルティが科され、後退を余儀なくされた。
3番手を走っていたポルシェ・カスタマーのプロトン・コンペティション99号車は、ジュリアン・アンドラウアーのドライブで2番手に浮上すると、さらにトップの5号車にも接近。プレッシャーをかけていった。
そして99号車は、LMGT3クラスの車両に5号車が詰まったスキを見逃さず、レース開始から38分のところでオーバーテイクに成功。首位に浮上した。
最初のピットストップを終えたところで、フェラーリ51号車が2台のワークスポルシェ勢の前に出て2番手につけたが、99号車は接近を許さず、むしろ徐々に差を開いていった。
レース開始から1時間30分が経ったころ、BMWの20号車から追突を受けたハーツ・チームJOTAの38号車がスピンし、LMGT3クラスのチームWRTの46号車BMWとクラッシュしたことで、セーフティカー(SC)が出動。99号車が築いた14秒ほどのリードは消えてしまった。
ガードレールが大きく破損してしまったこともあり、SCが解除されたのはレース残り3時間35分ほどのところ。それでも99号車は再び後続に対してリードを積み上げていった。
まもなくレース折り返しというタイミングでは、マイケル・クリステンセンがドライブしていたポルシェ5号車がブランシモンでクラッシュ。これでFCY(フルコースイエロー)が出された。
このFCYが解除されると、99号車が51号車に追い回される展開に。そして残り2時43分、ケメルストレートでついに51号車がオーバーテイク。スタートからポルシェ勢が首位を守ってきたが、ついにフェラーリがトップの座をつかんだ。
さらに予選失格でクラス最後尾から追い上げていた50号車も、残り2時間8分のところで99号車をパス。これでフェラーリがワンツー体制となった。
99号車はその後タイヤをロックさせる場面もあり、キャデラック2号車から追われる状況となっていたが、ケメルストレートで99号車を交わそうとした2号車が99号車に追突。2号車はさらにマシンの間をすり抜けようとしてLMGT3クラスのチームWRT31号車BMWと接触し、大クラッシュを引き起こしてしまった。幸い、ドライバーたちに大きな怪我はなかった。
この事故で即座に赤旗掲示となり、残り1時間50分を切ったところでレースは中断。ガードレールの修理が進められる中、残り時間が減っていった。
この時点で、フェラーリが51号車を先頭にワンツー。プロトン99号車が3番手だ。トヨタの2台は7号車が5番手、8号車が6番手につけた。
しかしハイパーカークラスの中ではポルシェ6号車、アルピーヌ36号車、JOTA12号車が赤旗前にピットストップを済ませており、レースの再開のタイミング次第ではこの3台が圧倒的に有利となる可能性もあったが、時間内にガードレールの修復は終わらなかった。
そのままレースが終わるかと思われたが、残り時間が1時間44分まで巻き戻されるという異例の判断が下され、SC先導でレースが再開された。
SC下で隊列整理が進む中、首位の51号車を含めて数台が燃料不足によりSC中に緊急ピットイン。ここでは8秒の給油しかできないルールのため、SC終了後にもう一度ピットインする必要があり、ポジションを落とすことになった。
フェラーリ50号車やプロトン99号車、トヨタ勢といった上位勢は、グリーンフラッグまでなんとか燃料が保ち、グリーンフラッグが振られた後にピットでフル給油と最後のドライバー交代をすることができた。
これにより、赤旗前にピットを済ませていたJOTAの12号車が首位に浮上。2番手にポルシェ6号車がつけた。
その1分ほど後ろでは、フェラーリの2台とトヨタ7号車の3台が展開。7号車のステアリングを握る小林可夢偉は、1コーナーでLMGT3クラスのマシンに当てられながらも、4番手を走行した。
7号車の小林は粘りの走りを見せたものの、残り30分を切ってフェラーリ51号車に交わされ5番手に後退した。
首位のJOTA12号車は、ポルシェ6号車に14秒の大差をつけ、計8時間弱におよんだレースをトップチェッカー。赤旗のタイミングを追い風に、カスタマーチームがワークスチームを打ち負かした。
6号車ポルシェは開幕戦で勝利を収め、2戦連続の2位獲得。ランキングを大きくリードしている。
3~4位はフェラーリ。特に50号車は予選失格、クラス最後尾から追い上げて表彰台に上がった。
トヨタは8号車が6位でフィニッシュ。7号車はフェラーリやポルシェと比べてレースペースは苦しいながらも粘りの走りを見せていたが、レース前半をリードしたプロトン99号車に残り15分のところでオーバーテイクを許し、LMGT3クラスのマシンとの接触で5秒ペナルティを受け、僚友8号車と順位が入れ替わった。
LMGT3クラスは、残り数周のところで上位がバタバタとピットインし、スプラッシュ(ごく短時間の給油)。ファイナルラップはポルシェ同士の優勝争いとなり、92号車マンタイPURE RXを交わした91号車マンタイEMAがクラス優勝を飾った。
Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティンはクラス7位。日本人ドライバーが乗るマシンは、宮田莉朋がスポット参戦したASP78号車レクサスがクラス10位、小泉洋史が乗るTFスポーツ82号車コルベットはクラス12位、木村武史が乗るASP87号車レクサスはクラス14位、佐藤万璃音のユナイテッド・オートスポーツ95号車マクラーレンはクラス16位だった。
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