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SHARE 角田裕毅(RB)にとって、F1中国GPは厳しいグランプリとなった。
角田は初日金曜日から苦しみ、スプリント予選でも予選でもいずれも19番手。グリッド最後列に並ぶことになった。今季は開幕から、予選でも決勝でも、常に入賞を争う位置につけてきた角田だが、突然の大スランプに陥った格好だった。
■マグヌッセン、角田との接触は”お互いに誤解”があったと説明「僕はできることは全てやったつもり」
これについて角田は「マシンに何かが起きている」と、予選後にコメントするなど困惑していた。
そして決勝レースでは、ハースのケビン・マグヌッセンに追突されたことで右リヤにダメージを負い、今季初のリタイア。まさに散々な形で中国でのグランプリを終えることになった。
ただ決勝レースでは、リタイアするまでのペースは予選までほど悲観するようなモノではなかったように思われる。
角田は19番グリッドからソフトタイヤを履いてスタート。他のほとんどのマシンがミディアムタイヤを履いていたため、そのパフォーマンス差を活かして、スタート直後に一気にポジションを上げることに成功した。同じようにソフトタイヤを履き、18番グリッドからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)が大いに苦労し、ポジションを上げられなかったのとは対照的だ。
■角田の決勝レースペースはそれほど悪くなかった
そのソフトタイヤを履いての角田のペースは、徐々にハミルトンには接近されたものの、デグラデーション(性能劣化)の値はミディアム勢と遜色ないものだった(グラフ赤丸の部分)。そしてチームは角田を早々にピットに迎え入れ、ミディアムタイヤに履き替えさせた。そして早めに1回目のタイヤ交換を行なったことで、複数台のマシンをアンダーカットしてポジションを上げることに成功したのだ。
そのミディアムタイヤを履いた第2スティントでは、ハミルトンの先行を許したものの、そこでのタイムロスを除けば、ニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)やエステバン・オコン(アルピーヌ)と遜色ないものだった。ハミルトンとのペース差もそれほど大きくなかった(グラフ青丸の部分)。
ちなみにこの時ヒュルケンベルグとオコンはハードタイヤを装着、ハミルトンと角田はミディアムタイヤを装着していた。ペースの面で言えば、ハミルトンや角田は、もう少し速く走りたかったところではあるが、逆にデグラデーションの面ではハードタイヤを履くライバルたちと同等……つまりしっかりとタイヤをマネジメントできていたと言えるだろう。
その後、セーフティカーが出動した際にハードタイヤに履き替えた角田。しかし前述の通り、リスタート直後にマグヌッセンに当てられてしまい、リタイアとなった。
ただ、それまでのレースペースのことを考えれば、マグヌッセンに接触されていなければ、ハミルトンやヒュルケンベルグ、オコンなどと互角に渡り合った可能性があるように思える。確かに角田が当時履いていたハードタイヤでのデグラデーションがどれほどだったのかは、チームメイトのリカルドもリタイアしてしまったため、不明瞭ではある。しかし、これらの3台と遜色ないレースはできたはずだ。
しかもリスタート時にマグヌッセンをオーバーテイクできたのは大きかった。今季はどのレースでも、ハース勢の最高速が伸びている。今回のレースでもそうだった。しかもマグヌッセンは他とは違う1ストップ作戦を狙っていたドライバー。前に居座られていたら、厄介だったはずだ。
そんなマグヌッセンを抜いたことで、厳しい状況ながらも入賞の可能性がひとつ高まったが、まさにそのマグヌッセンに追突されてレースを終えてしまったのは、悔しいという他ない。
しかし今季の角田とマグヌッセンは、コース上でよく絡んでいる。
開幕戦バーレーンGPでは、ピットストップ直後にオーバーランしてしまった一瞬の隙を突かれてマグヌッセンに先行されると、最後まで抜けずに入賞争いに加われなかった。第2戦サウジアラビアGPでは、チームメイトのヒュルケンベルグを援護しようとペースを落としたマグヌッセンに抑え込まれ、やはり入賞を逃すことになった。そして今回だ。逆に、ハース勢に先行されなかった2戦で角田は、しっかりと入賞している。
繰り返すが、ハース勢はトップスピードが伸びている。そしてそればかりではなく、立ち上がりの加速も悪くないということは、小松礼雄代表も認めるところ。こういうマシンを、コース上で攻略するのは難しい。このハース勢にコース上で出会わないことが、今季の中団グループが上位を目指す上では重要となろう。
逆にハースとしては、何らかの作戦を駆使してライバルの前に立てれば、入賞の可能性がグッと高まるというわけだ。抜かれにくいマシンを持っているのだから。
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