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SHARE三菱デボネア誕生60周年。知られざる命名のエピソード
デボネアは1964年7月に誕生。初代は1985年12月まで約22年間にわたって、フルモデルチェンジせずに生産されたことから、「走るシーラカンス」とも呼ばれた。
デビュー当時の3サイズは全長4670mm×全幅1690mm×全高1465mm、エンジンは直列6気筒OHV・1991ccのKE64型を搭載する5ナンバー登録車であるのが特徴であった。当時の高級車のクラウン、セドリック、グロリアにはタクシー仕様車も存在していたが、デボネアはお抱え運転手がドライブしてオーナーは後席に乗るショーファーカーとしての色彩が濃く、最高級仕様の単一グレードのみと異彩を放っていた。
デボネアのデザインは、デザインコンサルタントとして、ドイツ系アメリカ人のハンス・ブレッツナー氏が担当した。ブレッツナー氏は多才で、ネーミングまで考案。3~4案の車名を考え、そのうちの2つが最終案として残ったという。デボネア(Debonair)と、マーキス(Marquise)だった。
マーキスはフランス語で「侯爵夫人」という意味で、ダイヤモンドが大きく見えるカット法の名称としても使われる。18世紀のフランスでファッションをリードしたポンパドール侯爵婦人が活躍した時代に流行したダイヤモンドのカットの方法で、楕の2つの角がとがったラグビーボールのような形が特徴である。マーキスの車名としては三菱を象徴するスリーダイヤモンドとのつながりを連想したのかもしれない。しかし、日本語にすると侯爵婦人=女性ということで、車名としてはどうもピンと来ないということから、もう1つの候補であったデボネアに決まった。おそらく社長の判断ではないかとは、当時を知る関係者からの伝聞である。
デボネアは、フランス語が語源の英語で「優雅な」、「気品のある」、「風格のある」、「ていねいな」、「快活な」、「かっ達な」、「礼儀正しい」というような意味を持つ形容詞である。表面的な、外面的な、上っ面の美しさではない、内面から完成されたものに対するほめ言葉。つまり、内面的な“完成”を意味する最高の賛辞として、このクルマの車格にふさわしいことから命名されたものである。車名としては「優雅にして清楚、そして快活なクルマ」という意味を持たせており、このクルマの気品、重厚さ、スピード感を象徴するにふさわしいペットネームである。こちらもブレッツナー氏の渾身のアイデアだった。
このようにデボネアの車名は、デザインを担当したブレッツナー氏がデザインに込めた思いを表現するうえで、まさに的確だったといえる。デザインも車名も1人のデザイナーが手がけていたというのは、自動車産業の黎明期ならのことではないだろうか。
〈文=ドライバーWeb編集部〉
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みんなのコメント
素敵な車の話なのにどうしたらこんな下賤なコメントを書き込む気になるのでしょう。
残念なお方だ。