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SHARE2010年7月、ジープ グランドチェロキーのハイパフォーマンスモデル「SRT」の2010年モデルが登場した。本国アメリカではすでに4世代目となる次期型グランドチェロキーが発表されている中での、「SRT」の一部改良に注目が集まったが、果たしてどんなモデルとなっていたのか。Motor Magazine誌では販売開始と同時に試乗テストを行っているので、その時の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2010年12月号より)
ハイパフォーマンスチューンが施されたモデルにのみ与えられる称号
SRT8の「SRT」とは、「ストリート・アンド・レーシング・テクノロジー」のこと。クライスラーのハイパフォーマンスチューンが施されたモデルにのみ与えられる称号だ。現在、このSRT8モデルを選べるのは、クライスラー日本の輸入するラインナップのなかでダッジ チャージャーとジープ グランドチェロキーしかない。そんなハイパフォーマンスSUV“グランドチェロキー SRT8の2010年モデル”に試乗した。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
その主役となる6.1L V8OHVのHEMIエンジンは、最高出力426ps/6000rpm、最大トルク569Nm/4600rpmを発揮、0→100km/h加速は約5秒と公表される。これは歴代ジープのなかではもっともハイパワーで最速だ。
SRT8の専用アイテムとして、一番先に目に飛び込んでくるのは純正装着される20インチのアルミホイール&タイヤだろう。フロント255/45R20&リア285/40R20サイズのタイヤは、深い轍でハンドルをとられることがあるものの、それを補ってあまりある迫力がある。
SRT8を降りて5、6歩下がったところからじっくり眺める立ち姿からは“ただ者ではない雰囲気”が漂ってくる。こういうモデルは嫌いじゃない。また前席にヒーターとパワーシート機能の付いたSRT8のロゴ入りスエード/レザーシート、ブレンボ社製4輪ディスクブレーキなどもこのモデルに用意される。
ジープであることに加え、ハイパフォーマンスという魅力も大きい
実際にハンドルを握ったグランドチェロキーSRT8は、SUVというよりはスポーツモデルという気分で走ることができる。アクセルペダルを少し踏むだけで、シートに背中を押しつけられるような加速が味わえる走りは軽快かつパワフルなもの。真っ直ぐな道を矢のように突き進む姿が目に浮かぶようだった。
ワインディングも決して不得意科目ではないが、コーナリング時のロールは大きめ。ローダウンされ足も硬められているとはいえ、やはりロールの大きさはSUV特有のもの。車高の低いスポーツモデルではなく、背の高いSUVに乗っていることに気づかされるが、だからといって限界が低いわけではなく、粘り強ささえ感じられた。
トランスミッションは5速ATを搭載するが、6速が欲しいのが本音だ。燃料はプレミアム。アメリカ車だからレギュラーなのだろうという思い込みはいけない。また、燃費もあまり良くない。今回の試乗では500km以上走ったが、その結果はやはり芳しいものではなく、5km/Lを切ってしまうデータだった。SRT8に乗るなら燃費を気にしてはいけないかもしれない。
しかし、SRT8には、それを補ってあまりある特色を備えている。ジープであることに加え、ブランドの中でプレミアムなポジションを持つこのクルマは、シチュエーションによりいろいろな顔を見せてくれる。オフロード性能を専用コースでテストしたわけではないが、突然のゲリラ豪雨などに遭遇したときの安心感は他では得られないものだろう。また、“プレミアム”という部分では、革シートやバイキセノンライトがこのクルマを好印象に仕上げている。
4世代目となる次期型グランドチェロキーはすでに本国でデビューしている。日本にも来年には導入されるだろう。しかし、熟成されたモデルの良さも捨てがたいということが、この2010年モデルで確認できた。ちなみに、新型グランドチェロキーにSRT8がラインナップされるかどうかのアナウンスはまだない。(文:Motor Magazine編集部 千葉知充/写真:永元秀和)
ジープ グランドチェロキー SRT8 主要諸元
●全長×全幅×全高:4780×1910×1730mm
●ホイールベース:2780mm
●車両重量:2150kg
●エンジン:V8OHV
●排気量:6059cc
●最高出力:313kW(426ps)/6000rpm
●最大トルク:569Nm(58.0kgm)/4600rpm
●トランスミッション:5速AT
●駆動方式:4WD
●車両価格:696万7500(2010年当時)
[ アルバム : ジープ グランドチェロキー SRT8 はオリジナルサイトでご覧ください ]
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