「チャージャー」は、2007年から2010年にかけて輸入されていたダッジのハイパフォーマンスセダンです。ダッジは、アメリカの3大自動車メーカーのひとつだったクライスラーの1ブランドとして、数多くの乗用車を開発しています。「チャージャー」という車名は1960年代からすでに存在していましたが、当時アメリカのスポーツカーの代名詞だったマッスルカーのひとつとして高い人気を博したモデルでした。日本に正規輸入されていたのは、2005年から生産されていた3代目モデルです。ボディは初代のハードトップや2代目のハッチバックと異なる4ドアセダンでしたが、現代のマッスルカーとして60年代当時の高いパフォーマンスを鮮やかに蘇らせました。特にクライスラーのハイパフォーマンスカー開発プロジェクトである、ストリート・アンド・レーシング・テクノロジー(SRT)車両のSRT8は、ひときわ高い個性を放っているのが特徴です。「チャージャー」のボディは、全長5100mm×全幅1895mm×全高1520mmというアメリカ車にふさわしいビッグサイズで、日本で運転するには大きさを持て余してしまうかもしれません。特に1900mm近いワイドなボディは、狭い路地に入るのをためらうほどです。エクステリアは機能的かつアグレッシブに演出されており、フロントエアダムやエンジンフードのエアスクープ、ボディ同色の十字グリル、リアスポイラーなどのマッスルカーらしい特徴があります。「チャージャー」のスポーティーな雰囲気は、インテリアのつくりから感じることも可能です。レースカーを思わせる車内に装着されるフロントシートには、ホールド性に優れた立体的な造形のスポーツシートを採用し、素材には通気性が高いスエード革インサートが施されました。さらに、シートにはダッジならではの赤いステッチが入っており、シートカラーとのコントラストが鮮やかに映えています。「チャージャー」に搭載されるパワートレインは、5.6Lと6.1Lという2種類のV型8気筒エンジンです。特にSRTによるチューニングが加えられた6.1LのHEMI(ヘミ)エンジンは、最高出力317kW(431ps)、最大トルク569Nmというハイパワーを誇っています。その出力は5速ATを介してリヤを駆動し、1910kgの重量ボディを走行させるコンベンショナルなFRが採用されました。現在では、日本で乗りやすいように輸入車でも当然のように右ハンドル車が中心です。しかし、「チャージャー」には左ハンドル仕様のみがラインアップされていました。「チャージャー」は加速性能にもすさまじいものがあり、参考値ながら0kmから100kmまでの加速はわずか5秒という記録が残っているほどです。もちろん現代のマッスルカーにふさわしく、世界水準のハンドリングや卓越したブレーキ性能など、直線番長にはおさまらない走行性能を誇っています。「チャージャー」が日本で発売されていた当時、現在ほどの安全装備は市販車に搭載されていませんでした。それでも安全装備としてABSやエアバッグは標準装備されています。輸入開始当初は6.1Lエンジンを搭載する上級グレードの「SRT8」のみでしたが、翌年5.6Lエンジンの「R/T」が追加されました。最初に輸入されたSRT8のボディカラーは、「ブリリアントブラッククリスタルパールコート」と「トーレッド」という2色のみ。翌年登場したR/Tでは、加えて「ストーンホワイトクリアコート」や「ブライトシルバーメタリッククリアコート」も追加されています。※記載の文章は、2021年8月時点の情報です。