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日産モコはスズキからOEM供給される軽自動車である。
初代から一貫してスズキ・MRワゴンの兄弟車であり、主にフロント部分のデザインが異なる。

長く日産は軽自動車を扱っていなかったが、1999年にカルロス・ゴーンが日産の最高執行責任者に就き「日産リバイバルプラン」を打ち出すと、その一環として軽自動車購入層を取り込み、その後に自社の生産車にステップアップしてもらおうという狙いからモコは生まれた。
2002年、「出たよ、日産の軽」というキャッチコピーとともに日産初の量販軽自動車としてデビュー。

初代モコは、この時代のスズキの軽自動車に多く採用されていたK6A型のノンターボ直3 DOHC可変バルブタイミングのエンジンと、それにインタークーラーとターボをつけた二種類のエンジンがある。
ともに4速ATが組み合わされ、セレクターレバーはコラム部分に備わる。足踏み式パーキングブレーキとともに前席横方向ウォークスルーを実現している。
2004年、マイナーチェンジでベンチシートが採用されるとさらに前席横方向ウォークスルーの利便性は向上した。
2005年、第39回東京モーターショーで日産はコンセプトカー「モコ プレビュー」を出展し、次期モコの存在を示唆した。

スズキ・MRワゴン Wit（ウィット）およびMRワゴン スポーツに相当するモデルはモコには存在せず、ラインナップ自体はスズキの販売するものより狭い。
これによりスズキ・MRワゴン スポーツにラインナップされていたK6Aインタークーラーつき高圧ターボの64ps仕様はモコには存在せず、ターボモデルの最高出力は60psに留まった。
ラインナップ上不利であったモコだが、しかし豊富な販売網と大々的なCM戦略が功を奏したのか販売台数は日産の方が多かった。

スズキ・MRワゴンがモデルチェンジすると、2006年、それに合わせて日産・モコも二代目にモデルチェンジ。
初代のワンモーションフォルムから、少しボンネットを出したスタイルに変わった。
リアゲートも二段階にスラントのついた複雑な形状になり、見た目のテイストは初代とかなり異なるものとなった。
二代目および三代目モコではスズキ・MRワゴンと較べてバンパー・フロントグリルのみならずヘッドライト形状も差別化、さらに個性を出した。

二代目モコではABSが全車標準装備となり、前期型ではオプション扱いであったスズキ・MRワゴンとは異なる点の一つである。
このほかモコにはその名も「モコルージュパールメタリック」という専用色が設定、内外装が異なる等の違いがある。

2009年、マイナーチェンジが行われ、エンジンが型式こそ同じK6A型ながら特にノンターボ車でシリンダーヘッドの設計を刷新。
これにより燃費が大幅に改善、2WD車全車で「平成22年度燃費基準+15%」を達成している。

2009年度の販売実績で、スズキ・MRワゴンが1万5478台である一方、この二代目モコが5万6646台とかなりの差でOEM車種としては異例のヒットとなった。
同クラスにはスズキにはワゴンRという看板車種があり、いわばMRワゴンはニッチ層を狙った車種という位置づけであるが、日産としてはモコが唯一の存在であったことから販売が集中したという事情もあるが、カルロス・ゴーンの軽自動車戦略は大成功であったということになる。

2011年、スズキ・MRワゴンのモデルチェンジに少し遅れて三代目モコがデビュー。
「モコベリーパールメタリック」「アーバンブラウンパールメタリック」と今回もモコ専用のボディカラーが設定された。
ボディスタイルは先代より角ばったものとなり、また先代と同じくヘッドライトまでスズキ・MRワゴンと差別化されたモコ専用の「顔」が与えられている。

モコの歴史上、初めてエンジンが刷新され、スズキの新世代低燃費エンジン、R06A型が採用された。
これによりノンターボモデルが最大出力および最大トルク値は不変ながら飛躍的に燃費性能が向上している。
またインタークーラーつきターボエンジン車では最大出力がモコ史上最強の64psに達した。
先代まで4速ATのみだったトランスミッションはCVTに変更され、ほぼ全車で「平成17年基準排出ガス75%低減レベル（☆☆☆☆）」「平成22年度燃費基準+25%」をクリアした高い環境性能を誇る。
ただし4WDの中でも「G FOUR」グレードのみ「平成22年度燃費基準+20%」となっている。

2011年、マイナーチェンジで「X アイドリングストップ」グレードが追加された。スズキ・MRワゴンの「ECO-X」に相当するグレードである。
一時消滅していたボディカラー、「ブルーイッシュブラックパール3」が復活した。
またこの年にはオーテックジャパン扱いの特別仕様車として「エアロスタイル」が発売された。
この「エアロスタイル」はその名の通りエアロパーツと、ホワイトリングイルミ付専用フォグランプ、専用のシルバー塗装されたグリル等を備えるドレスアップ仕様である。

2012年、マイナーチェンジで時速9km以下への減速でアイドリングストップが作動するよう改良され、その他エンジンやトランスミッションへの改良により燃費を向上。
また新グレード「Sアイドリングストップ」が追加された。スズキ・MRワゴンの「ECO-L」に相当するグレードである。

2013年、マイナーチェンジ。アイドリングストップのタイミングが13km/h以下になった時に作動するよう改良され、その他スズキのリチウムイオンバッテリーを使用したエネルギー回生システム「エネチャージ」、蓄冷剤を使用したエアコンの省力対策「エコクール」に相当する技術を導入し、ついにJC08モード燃費で30km/lを達成した。
スズキ・MRワゴンには継続設定されているインタークーラーつきターボ車はモコでは廃止された。
これは同年発売の三菱との合弁事業による共同開発車、日産・DAYZとシェアを食い合う可能性があるためと思われる。
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