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トヨタ・ヴィッツは多くの派生車種を持つトヨタのB～Cセグメントコンパクトカーである。

1999年に登場した初代ヴィッツはZ40型ソアラ/レクサスSCも手がけたギリシャ人デザイナーのソティリス・コヴォスによるボディデザインで、それまでの日本国内のコンパクトカー、リッターカーには無かった新鮮なスタイルと優れたスペース効率から大ヒットとなった。
初代モデルは1999-2000日本カー・オブ・ザ・イヤーおよび欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。販売面でも台数ベースでカローラを抜き国内でベストセラーモデルとなった。
進歩的な外観と合わせて内装も独特なもので、丸みを帯びたダッシュボードの中央にスピードメーターが収まるセンターメーターレイアウトを採用。
ドライバーがステアリングの向こうを見てもただダッシュボードの壁がありメーターはそこにはない。
当初はタコメーターの設定がなく、登場後すぐに追加されたユーロスポーツエディションではセンターメーター内にデジタルのバーグラフとして回転数を表示した。なお初代の途中から通常のアナログタコメーターのついたモデルも選べるようになっている。
二代目・三代目はトヨタ自動車社内デザイン。二代目のがらりと変わった顔つきは不評で、途中フェイスリフトを受けて初代のイメージを取り戻した。
特に三代目は世の中のダウンサイジングの風潮に対応するため大人の男性にも訴えるデザインを意識している。
一貫してMTをラインナップしており、スポーツカー冬の時代にもその裾野を背負っていると言える。
初代の発売直後、まだ1000ccモデルのみであった時代に「ユーロスポーツエディション」が当時としては珍しいインターネット限定販売で発売された。
標準車には備わらないスタビライザーを装着し、欧州輸出仕様と同様の足回りとなっているのが売り。
外観は控えめのアンダースポイラーとが備わりグリルがメッキ処理されていた。この時他のグレードでは選択できなかったブラックがあったのも特徴。当時「黒いヴィッツ」といえば非常にレアな存在だったのである。
その後、1300ccが追加されるとユーロスポーツエディションはパッケージオプションとして正式にカタログに掲載された。3ドア/5ドア、MT/ATともに選択出来た。
その後ユーロスポーツエディションは1300RS/1500RSへ発展し独立のグレードとなった。

トヨタの参加型モータースポーツへの取り組みとしてヴィッツは欠かせない車種である。
ネッツカップヴィッツレース（2013年現在ではGazoo Racingネッツカップヴィッツレースとして）はJAF公認の競技でいわゆる「A級ライセンス」が必要なワンメイクレースだ。
当初は「アルテッツァカップ」、後には「GAZOO Racing 86/BRZ Race」の下位シリーズとして開催されている。
このヴィッツレースは一般的なドライバーが気軽に楽しめるように始まったもので、これをきっかけとしてワンメイクレースが国内で開催が増え、マツダ、ロータス、フォルクスワーゲン等も追従した。
サーキットでのレースだけではなくラリーでも、TRDがワンメイクラリー「TRDヴィッツチャレンジ」を開催している。

これらのモータースポーツに使用するためのヴィッツも販売されている。
初代1000ccの時代には初期は用品扱いでモータースポーツ部品が設定され、後に「ヴィッツ TRD-MSB（モータースポーツベーシックの略）」という自動車競技を志向したグレードが設定された。
これが二代目では「ヴィッツRS TRD Racing」というTRDコンプリートカーになり、三代目では「ヴィッツRS Racing」として設定されている。
ヴィッツは3ドアと5ドアのラインナップのうち、二代目からは3ドアは国内販売はされなくなったが、それまで3ドアのみであったレースベース仕様を5ドアで販売している事で却って門戸は広がったとも言える。
これらのモデルはモータースポーツ用にサスペンションを固めたり各所の補強や競技での安全対策をしているのみで、エンジン出力等は通常のヴィッツと変わらない。

ストリート用のスポーツモデルとしては、初代および二代目の1500RSをベースとし最高出力を150psとした「TRDターボ」、三代目の1500RSをベースとした「GRMNターボ」では同じ1NZ-FE型1500ccエンジンにターボをつけたものだが152psと僅かに上回っている。
このGRMN Turboはそのほか、サスペンションを専用にチューニングし、フロントブレーキはベース車の片持フローティングキャリパーから対向4ポッドに換装され、ボディも補強されているほか、通常モデルでは選択出来ない3ドアとなっており、200台限定で販売される。
またパワーこそベースのRSと同一だが、三代目には「G’s」という足回りを固めスポーツイメージを追ったエアロパーツを纏い17インチホイールで武装しているモデルが設定されている。

ヴィッツはコンパクトなボディと高効率なエンジンで燃費性能でも優れている。
2001年、初代ヴィッツに「TOYOTA STOP AND GO SYSTEM」と名付けたアイドリングストップシステムをパッケージオプションで設定。
最もベーシックな1.0Bグレードをベースに「エコパッケージ」として選択出来た。この1.0Bエコパッケージ仕様ではギア比も変更し燃費性能を磨いている。
二代目ヴィッツでは「Intelligent Package」としてアイドリングストップやエアスパッツを始めとした各種燃費対策を施したモデルがある。
三代目では「SMART STOP Package」として装着可能グレードが広がった。
2013年現在、ヴィッツのハイブリッドモデルは欧州仕様（ヤリスハイブリッド）にしか存在せず、日本国内ではその代わりにアクアとして別車種でハイブリッドが展開されている。

プラットフォームを共用する派生車種としては、初代からはプラッツ、bB、ファンカーゴ、ラクティス（初代）、プロボックス（フロント周りのみ）、サクシード（フロント周りのみ）、シエンタ（フロント周りのみ）、ist（初代）、二代目からはベルタ、ラクティス（二代目）、スバル・トレジア、三代目からはヴィオス（日本未発売）、カローラアクシオ、カローラフィールダー、アクア、と豊富な車種がある。
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